ホーム > 遺留分に関する重要判例 > 【東京高判平成29年2月22日】死後認知によって相続人となった者の遺留分を侵害する遺言がなされ、これに基づき共同相続人間で遺産分割がなされた場合に、死後認知の認容判決の確定から1年以内に、遺留分減殺の意思表示をした被認知者は、民法910条の価額支払請求によって、自らの遺留分の回復を図ることができるとされた事例

【東京高判平成29年2月22日】死後認知によって相続人となった者の遺留分を侵害する遺言がなされ、これに基づき共同相続人間で遺産分割がなされた場合に、死後認知の認容判決の確定から1年以内に、遺留分減殺の意思表示をした被認知者は、民法910条の価額支払請求によって、自らの遺留分の回復を図ることができるとされた事例

「認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる(民法784条本文)が、第三者が既に取得した権利を害することができない(同条ただし書)ところ、民法910条の価額支払請求の制度は、遺産分割等が既に終了している場合に、他の共同相続人との関係において、分割等のやり直しを避けて遺産分割等の効力を維持しつつも、価額のみによる支払の請求権を認め被認知者の保護を図る趣旨と解される。

このような制度の趣旨に鑑みるならば、死後認知によって相続人となった者の遺留分を侵害する遺言がなされ、これに基づき共同相続人間で遺産分割がなされた場合には、被認知者は民法910条の価額支払請求によってのみ、自らの遺留分の回復を図ることができるものと解される。

すなわち、価額支払の請求時点における遺産の価格を基準として(平成28年2月26日最高裁判決)、自らの遺留分割合に相当する金額を共同相続人に請求できるものというべきである。

しかして、価額支払を請求しうる共同相続人及びその負担割合については、上記の趣旨に照らし、遺留分減殺請求に関する判例法理(平成10年2月26日最高裁判決、平成24年1月26日最高裁判決)に従い、遺言によって遺留分を超える遺産の相続を受けた共同相続人に対して、遺留分額を超える価格の割合(算定基準時は相続開始時)に応じて、請求しうるものと解するのが、遺留分制度の趣旨とも整合し、合理的である。」