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【遺留分Q&A-17】特別受益の持戻し免除の黙示の意思表示

特別受益について、持戻し免除がある場合とはどういう場合ですか。

 

くり子ちゃん
1 持戻し免除の意思表示は、特別の方式を必要としないため、贈与と同時であることを要しませんし、生前行為、遺言のどちらによってなされても問題ありません。

また、明示でも黙示でもよいとされています。

被相続人の持戻し免除の意思表示は、明示されることは少ないため、黙示の持戻し免除の意思表がいかなる場合に認定されるかという点が問題となります。

2 そこで、過去に黙示の持戻し免除が問題となった裁判例を紹介します。

①農家の相続において、被相続人と同居して農業の後継者として暮らしてきた長男に対して、被相続人が法定相続分をはるかに超える農地を生前贈与し、さらに他の財産を遺贈しているような場合に、生前贈与につき特別受益の持戻し免除の意思を表示していたものと認定した(福岡高決昭和45年7月31日)。

②被相続人の土地に相続人の家を新築させ、新築家屋の一部に被相続人とその家族を同居させるという負担付使用貸借が認定できる場合に、この負担付使用貸借上の権利に伴う特別受益については、持戻し免除の意思表示があったと認定した(東京家審昭和49年3月25日)。

③大腸ガンを発病した被相続人が、死の前年、老後の生活を支えるに足る資産も住居もない妻に対して、住居の敷地である自己所有の土地の持分5分の4を贈与し、その旨の登記をしたことは黙示の持戻し免除の意思表示があったものと認定した(東京高決平成8年8月26日)。

3 このように、黙示の持戻し免除の意思表示が認められる場合は、受贈相続人が他の相続人に比して、受贈財産を特別に多く取得する合理的な事情がある場合に限られるものと解されます。