ホーム > 遺留分に関するQ&A > 【遺留分Q&A-15】遺留分と特別受益の関係

【遺留分Q&A-15】遺留分と特別受益の関係

共同相続人の1人が被相続人から特別受益となる贈与を受けている場合、遺留分の算定はどうなりますか。
民法1030条の要件を満たさない贈与であっても遺留分の算定基礎とするのでしょうか。
また、その場合、特別受益である贈与財産も遺留分減殺請求の対象となりますか。

 

くり子ちゃん
1 民法1030条では「贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする。」と規定されています。

そして、「前条」すなわち、1029条では「遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。」と規定されています。

一方、民法1044条は「第887条第2項及び第3項、第900条、第901条、第903条並びに第904条の規定は、遺留分について準用する。」と規定し、この規定により準用される民法903条1項には「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。」と規定しています。

2 今回のご質問については、以下のとおり、最判平成10年3月24日が判断しています。

「民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り民法1030条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となるものと解するのが相当である。

けだし、民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、すべて民法1044条、903条の規定により遺留分算定の基礎となる財産に含まれるところ、右贈与のうち民法1030条の定める要件を満たさないものが遺留分減殺の対象とならないとすると、遺留分を侵害された相続人が存在するにもかかわらず、減殺の対象となるべき遺贈、贈与がないために右の者が遺留分相当額を確保できないことが起こり得るが、このことは遺留分制度の趣旨を没却するものというべきであるからである。」

3 したがって、共同相続人の特別受益は、民法1030条の要件を満たすか否かを問わず、持ち戻して基礎財産に算入されます。

また、特別受益は原則として遺留分減殺請求の対象となります。