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【遺留分Q&A-12】1年以上前の贈与の取扱い

民法1030条後段の「遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をした」というのは具体的にどのような場合をいいますか。

 

くり子ちゃん
1 遺留分の算定において、相続開始前の1年間になされた贈与については、その価額が遺留分算定の基礎財産に算入されますが、1年前の日より前になされた贈与については、「当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って」なされた贈与だけを算入するとされています(民法1030条後段)。

2 ここでいう「損害を加えることを知って」なされたというのは、損害を加えることについての認識があれば足り、損害を加える意思までは必要ないとされています(大判昭4年6月22日)。

また、損害を加えることについての認識があるとするためには、贈与の当時において、①その贈与が遺留分を侵害するとの認識があることと、②将来において被相続人の財産が増加しないという予見があることの2つの要件が必要であるとされています(大判昭11年6月17日)。

3 上記要件のうち、①については、法律の知不知を問わず、客観的に遺留分権利者に損害を加える事実関係を知ることを意味するとされています(大判昭9年9月15日)。

つまり、遺留分割合がどれだけであるとか、誰が遺留分権利者であるかという法律的なことを知ることは必要ではなく、贈与財産が残存財産を超えていることを知るというように、客観的に遺留分を侵害することになる事実関係を知れば足ります。

②については、遺留分権利者を害するか否かは、相続開始時に判断されるため、たとえ贈与時においては残余財産が遺留分に足りなくても、将来財産が増加して遺留分を侵害しなくなることも考えられます。

したがって、全財産に対する贈与財産の割合だけでなく、贈与の時期、被相続人の職業・年齢・健康状態等を総合的に考慮して、将来財産が増加しないことの予見の有無を判断することになります。

なお、①、②の要件の立証責任は、遺留分減殺請求権者にあるとされています(大判大10年11月29日)。